消費者金融などの借金は弁護士が債務整理すれば減額できます。
まず、弁護士が貸金業者に通知を送ると取立が止まり、さしあたって返済しなくてよくなります。
そして、弁護士が貸金業者と交渉して借金を減らします。
消費者金融などの貸金業者は、「利息制限法」の定める上限利率を超える違法な利率で貸付をしてきました。
上限利率は、元本10万円未満なら年20%、10万〜100万円未満では18%、100万円以上では15%で、これを超える利息は無効です。
弁護士は、貸金業者から取り寄せた取引履歴をもとに、利息制限法の利率で借金を計算し直します。契約上の利率より低い利率で計算するので、借金が減るわけです。6〜7年以上真面目に返済を続けてこられた方であれば、貸金業者から過払い金が返ってくることがあります。
弁護士が計算しても債務が残るケースでは、3〜5年程度で返済をしなければなりません。
この場合、将来の利息はカットできるのが普通です。利息をカットできれば返済総額は少なくなります。
他の業者から回収した過払い金があれば、それを返済に充てることもできます。
3〜5年かけて返済できる見通しが立たなければ、自己破産を考えることになります。
過払い金を請求できます。
利息制限法の利率を超える金利の借金を完済した場合、必ず過払い金が発生していることになります。
ただ、完済してから10年経過すると、時効により過払い金を請求できなくなるという理解が一般です。
また、最近は中小の貸金業者は経営が苦しくなり、過払い金を返せない業者が増えてきました。
貸金業者が倒産したりしないうちに、早く弁護士に依頼することをお勧めします。
消費者金融からの借入については、利息制限法の上限金利で計算しなおすことで借金を減らせることがありますが、それでも3年程度で分割返済できる見通しが立たなければ、自己破産を検討することになります。
自己破産すれば、原則として負債をなくせます(「免責」といいます)。ただ、ギャンブルや浪費などの事情で借金を作った場合は、程度によりますが、免責されなかったり、借金の一部を支払うように求められたりすることがあります。また、税金等は免責されません。
ローンを組んで買った物や車がある場合、ローンが残っていれば債権者に引き上げられることがあります。自己名義の持ち家があれば手放さざるを得ません。
破産者に財産がある場合は、裁判所が選任する破産管財人(弁護士)が財産を管理し、お金に換え、債権者に配当します。
ただ、広島地裁の運用では(各裁判所によって運用は異なります)、破産者の総財産が60万円以下の場合は、費用倒れとなるため、めぼしい財産はないものと扱い、すぐに破産手続を終わらせます。個人の破産の場合、このようなケースが大半です。
自己破産すると、「官報」に住所・氏名が掲載されますが、多くの人は官報など見ていません。
自己破産すると、いわゆるブラックリストに登録され、一定期間借入ができなくなります。
一度破産すると、その後7年間は再度免責を受けることはできないとお考えください。
【自己破産しても負債をなくせないケース その1】
借金がたくさんあり、自己破産を考えています。
自己破産しても借金をなくせないことはありますか。
分割払いでも借金を返済できる目処が立たない場合は、自己破産して借金をなくす(「免責」といいます)方法があります。
しかし、どんな場合でも免責されるわけではありません。
借金をなしにするということは、逆から見れば、何の落ち度もない債権者に泣いてもらうということです。
債権者を犠牲にしてまで免責させるべきではないと考えられる事情を、破産法は「免責不許可事由」として列挙しています。
たとえば、浪費やギャンブルのための借金、財産の隠匿や財産を不当に減らす行為、一部の債権者だけに対する不公平な支払い(偏頗弁済)、二度目の自己破産の場合などです。
裁判官は自己破産の申立書類を読み、場合によっては債務者から直接事情を聞き、債務者の過去の生活歴、借金がふくらんだ経緯、お金の流れ、財産状況などから、免責不許可事由がないかどうか判断します。
もっとも、免責不許可事由が少しでもあれば免責されないということではありません。債務者の更生ぶりなどから柔軟に判断されることはあります。
免責不許可事由が軽視できない場合は、裁判所が破産管財人(弁護士)を選任し、免責について破産管財人の意見を踏まえて判断されることもあります。また、借金の一部を支払うことで、残りの借金を免責するケースもあります。
そのような柔軟な判断も期待できないほど免責不許可事由が著しい場合は、自己破産ではなく、個人再生を選択した方がよい場合があります。個人再生は、負債を減額したうえで、残った負債を3年?5年で分割払いしていく手続です。
毎月支払っていける見通しがあることが前提ですが、免責不許可事由がある方も利用できます。
【自己破産しても負債をなくせないケース その2】
@浪費
収入の範囲で払っていけるのか、利率が何%か、完済までにいくらの利息を払わなければならないか、などに無頓着な方は少なくありません。
「カードが使えるから使う」といった感じで、高額な買い物などを重ねる方もいます。
程度が著しい場合にはすんなり免責にはなりません。Aギャンブル
借りた金でギャンブルをし、勝てばそれでよく、負けたら自己破産ということは許されません。
多いのはパチンコです。株式投資やFX等で、損を取り返さないと大変だ!と借金を重ねてお金をつぎ込む方もいます。
B一部の債権者だけに支払う
親族などからも借りている場合、「親族・知人に迷惑はかけられない」と考えるのが人情かもしれません。
しかし、貸金業者でも親族でも、お金を貸している債権者という立場に違いはありません。
支払困難な状態なのに、親族など一部の債権者だけに支払い、他の債務だけなくしてしまうのでは、債権者間で不公平が起きます。そのため、このような場合にはすんなり免責されません。破産申立前のお金の流れは、裁判所がチェックします。
ですので、自己破産する場合は、個人の債権者も含めたすべての負債について、返済を止め、免責していくことになります。
勤務先から借入をし、給与天引きで返済している方の場合は、弁護士が勤務先に連絡して天引きを止めてもらいます。
というわけですので、借金で困っている親族、知人、自社の従業員にお金を貸すと、その後支払困難となっても自己破産を決意しづらくなり、かえって進退困難な状態になってしまうことがあります。借金で困っている方には、お金を貸すのではなく、弁護士に相談に行くように勧めるのがお互いのためです。
援助を受ける際に借金の額を過少申告したり、完済後も借入を重ねたりするケースもよくありますので、注意が必要です。
【自己破産しても負債をなくせないケース その3】
※そのAの続きになっております。
Cカードで購入した物をすぐ売却
目先の支払いに困り、カードで貴金属や金券を購入してすぐ売却し、現金を作る方がいます。
購入代金より少ない現金しか手に入らないうえ、利息をつけて支払っていかねばならず、自分の首を絞める行為です。
完済前に自己破産となると、カード会社は商品を引き上げようとします。しかし売却しているため引き渡せません。
他人(カード会社)の物を売却してお金を着服したことになります。
「カードのショッピング枠の現金化」を謳う業者がいますが、絶対に利用してはいけません。
D財産を不当に減少させる行為
多重債務を負った状態で、退職金などのお金が入り、これを浪費する方がおられます。
親などが亡くなり、多重債務者が遺産の相続人となるケースも時々あります。自己破産するような状況なのに、遺産を気前よく他の相続人に取得させる遺産分割協議をしてしまうと、債権者は遺産から債権回収できなくなってしまうため、問題です。
このような場合は、亡くなったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所で「相続放棄」の手続をしたうえで破産申立をすれば、問題視されません。
同じ「遺産はいらない」ということでも、破産手続上の扱いが違います。
E財産の隠匿
自分の財産を隠して裁判所に報告せず、借金だけをなくそうとしたことが発覚した場合も、免責が受けられなくなることがあります。
破産管財人が選任されるケースでは、破産者宛の郵便物がすべて破産管財人に転送されます。郵便物から、財産が発覚することがあります。
F二度目の自己破産
一度自己破産をした後、7年以内にまた自己破産をする場合、原則として免責されません。7年経過後でも、厳しく判断されます。たまにですが、二度目の方にお目にかかります。
まず、住宅ローン以外の貸金業者に弁護士が介入し、弁護士が業者と交渉して、利息制限法の利率(年18%前後)で計算し直した額を3〜5年で分割払いしていく和解をする方法(任意整理)が考えられます。
この方法で支払っていけるだけの見通しが立てられればよいのですが、借入期間が短かったり、もともと利率が利息制限法の範囲内の借入だったりすれば、借金はあまり減りません。
任意整理で支払っていくのが難しそうであれば、裁判所に個人再生の申立をして自宅を残す方法があります。
個人再生の場合、住宅ローンだけは支払をしつつ、それ以外の負債を減額してもらうことができます。
本件のように住宅ローン以外の負債が500万円以下であれば、これを100万円に減額してもらうことができます(ただし、総財産の額が100万円を超えていれば、その額だけ支払う必要があります)。
負債額が500万円〜1500万円の場合は、負債額が5分の1に減額されます。
そして、減額された負債を3〜5年かけて支払っていく計画を立て、裁判所が認可すれば、支払をしていくことになります。
なお、債権者(頭数と債権額)の過半数の同意が必要となりますが、ほとんどの貸金業者は同意してきます。
住宅ローンをもともとの契約どおりに支払う計画を立てるのが難しい場合は、弁護士が金融機関と交渉し、住宅ローンの支払方法を変更できることもあります。
個人再生で支払をしていくだけの収入が見込めなければ自己破産せざるを得ず、借金はゼロになりますが、自宅は手放さざるを得ません。
10数年前から消費者金融数社に借金がありましたが、月の返済額が10万円を超えるようになり、3年前に消費者金融X社から他の業者に支払ってもらい、債務をX社に一本化しました。
X社にきちんと払っていけるか心配でしたが、今よりは楽になると思い契約しました。
X社は、両親が住む父名義の自宅に抵当権をつけ、父を連帯保証人にするように求め、仕方なく父に事情を話してそのようにしました。
しかし、やはり支払いは苦しく、返済のために他の業者から借入を重ねました。とうとう返済に行き詰まり、X社が父の家の競売申立をしてきました。
両親は家が売られるのかと動転しています。
もしX社と契約する前に弁護士に相談していれば、各業者は利息制限法違反の高利を取っているため、あなたのように長期間借入があれば過払い金が返ってきたりして容易に借金をなくせていたはずです。
過払い金がなくても、借金は減額できるうえ、弁護士介入後の利息は通常ゼロにできます。
それでも支払えない額なら、あなたが自己破産すれば、両親などに迷惑をかけないで解決できていたはずの問題でした。しかし、おまとめローンでは、それまでの借金の残額がそのまま残り、利息も払う必要があります。さらに本件では両親まで巻き込み解決を難しくしています。おまとめで完済した業者には過払い金を請求できますが、全額回収できるとは限らず、回収にはより多くの弁護士費用がかかります。
X社は、利息制限法の利息で計算しなおせば借金が減ることを説明せず、本当は借金などする必要がない人にお金を貸し、無関係なはずの両親から自宅を奪ってまで利益を上げようとしており、悪質です。
本件では、おまとめローン契約が悪質で無効であると主張して競売手続を停止させる申立(仮処分)が可能です。
そのうえで、訴訟でおまとめローンの無効を争いましょう。おまとめローンが無効とされた裁判例もありますし、和解により家を失わない形で解決できるかもしれません。