○遺産分割協議が不要となり、紛争を防げる
遺言を書かずに亡くなられた場合、誰がどの遺産を相続するか、協議しなければなりません。この協議が難航し、紛争に発展することも少なくありません。
遺言があれば、遺言書どおりに相続することになるため、相続紛争を防ぐことができます。
当事務所では、遺産の分け方などの相続紛争を数多く扱ってきましたが、その多くは、遺言さえあれば紛争を防げたと思われる案件です。
ご自分の死後、相続人間ですんなり話がつかないのではないかと思われる方は、遺言を作成しておきましょう。
再婚され、前の夫・妻との間にお子さんがおられるケースなどでは、スムーズに話し合いがつかないことがよくあります。
○誰に何を相続させるかについて、遺言者が決めることができる
たとえば、家業を継ぐ息子には自宅を相続させるとか、世話になった相続人には多めに相続させるなど、死後の権利関係に遺言者の遺志を反映できます。
○法定相続人以外の人にも財産を譲ることができる
遺言がなければ、民法の定める法定相続人のみが、遺産を相続することになります。
遺言であれば、法定相続人以外の方に財産を相続させることも可能です。
法定相続人ではないが世話になった方がおられる場合、遺言で財産を相続させることができま
す。
(例)
婚姻届を出していない内縁の夫・妻には相続権がありません。内縁の夫・妻に財産を相続させるには、遺言が必要です。
○特定の法定相続人には遺産を相続させないという遺言も可能
法定相続人のうち、一部の方だけに遺産を相続させるという遺言も可能です。
配偶者や子などには、「遺留分」という最低限の相続権があることに注意が必要ですが、遺留分を侵害する遺言も有効な遺言です。
兄弟姉妹には遺留分がありませんので、兄弟姉妹に相続させたくないという場合、特に遺言が有用です。
(例)
お子さんがおられない方の場合、兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、甥・姪)が相続人となりますので、遺言を書くことをお勧めします。
弁護士楾大樹の法律相談室 相続人に相続させない方法→
遺言には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」などがあります。
作成方法 | 長所 | 短所 | |
自 筆 証 書 遺 言 |
自分で紙に書いて 作成しますが、作成 方法が民法で厳格に 定められています。 ・遺言者が、遺言の 全文、日付、氏名を 自書し、印を押す必 要があります。 ・加除変更の方法も 決められています。 |
・手軽に作成でき、費 用もかからない。 |
・作成方法を間違えると無効にな ってしまう。 ・遺言書の言葉の意味をめぐる紛 争などが起きる可能性がある。 ・死後に検認手続が必要となり、 遺族の手を煩わせる。 ・作成後、紛失などのおそれがあ る。 ・死後、遺言書が発見されない場 合がある。 |
公 正 証 書 遺 言 |
公証役場で、公証 人に作成してもらい ます。 |
・公証人が関与するた め、無効とされるおそ れが少ない。 ・死後に検認手続が 不要。 ・原本は公証役場に 保存されるため、紛失 などのおそれがない。 |
・公証人の手数料などの費用がか かる。 ・証人2名が必要(相続人となる方 や、その配偶者などは、証人にな れません)。 |
@相続税対策が必要な方には、遺言を書く前の下準備(養子縁組、生命保険加入、
生前贈与など)を考えます。
A遺言書作成に必要な戸籍謄本の収集を代行します。
B公証人手数料算定のため、財産の一覧表を作成して公証役場に送付します。
C遺言書の原案を作成します
D証人2名が必要となりますが、弁護士と事務職員が証人となります。
弁護士と事務職員が、依頼
者と一緒に公証役場に同行し、遺言書に証人として署名押印します。
E遺言執行者」に弁護士を指定することも可能です。
弁護士を遺言執行者とされれば、亡くなった
後の手続も弁護士が行います。
■弁護士費用 |
遺言書作成の弁護士費用 11万円〜 (労力や、財産の多寡によります) |